化粧品の製造、販売には許可が必要。製造業許可、製造販売業許可とは|兵庫県尼崎市 いしの行政書士事務所

化粧品のビジネスを始めたい。でも何から手を付ければ良いかわからない。

このようなお悩みを持つ方は一度この記事をご覧ください。

化粧品の販売や製造をするには「化粧品製造販売業許可」と「化粧品製造業許可」が必要です。

ビジネスのパターンごとに以下の許可が必要です。

自社で製造(輸入)し、自社の製品として市場へ出荷をする

製造業許可と製造販売業許可が必要

自社の製品として市場へ出荷するが、製造はしない

製造販売業許可が必要

製造はするが、他社が市場への出荷をする

製造業許可が必要

目次

化粧品をメーカーとして販売したい

化粧品製造販売業許可が必要

化粧品製造販売業許可は、化粧品を市場に出荷するために必要な許可です。

小売りとして販売する場合、許可は不要です。

製造販売業者は市場に対して製品の品質、有効性、安全性の最終責任を負う重要な立場です。後述する製造業者の管理監督も製造販売業者の責務です。

製造販売業許可を取得するには、「総括製造販売責任者」「品質保証責任者」「安全管理責任者」と呼ばれる責任者を社内へ配置することが求められます。これらの責任者は「製造販売業者の三役」と呼ばれることもある重要な責任者です。

「総括製造販売責任者」「品質保証責任者」「安全管理責任者」は兼務が認められています。
(同一所在地であり、業務に支障がない場合)

製造販売業者の三役

各責任者には以下の責務があります。

  • 総括製造販売責任者:品質管理及び市販後の安全管理を行う責任者
    • 品質管理業務、製造販売後安全管理業務を公正かつ適正に行うために製造販売業者(会社)に対して意見を述べる
    • 品質保証責任者と安全管理責任者と密接な連携を取る
  • 品質保証責任者:品質管理業務を統括する責任者
    • 品質管理業務が適正かつ円滑に行われるように確認する
    • 製造業者と連絡を取り必要な指示を出す
    • 品質管理業務について必要があるときは総括製造販売責任者に報告する
  • 安全管理責任者:安全確保業務を統括する責任者
    • 安全確保業務が適正かつ円滑に行われるように確認する
    • 安全確保業務について必要があるときは総括製造販売責任者に報告する

三役の要件

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責任者名要件
総括製造販売責任者製造管理、品質管理、製造販売後安全管理を適正に遂行できる能力と経験を有すること

以下の資格、学歴または実務経験が必要
・薬剤師

・旧大学令に基づく専門学校又は学校教育法に基づく大学若しくは高等専門学校で、薬学又は化学に関する専門の過程を修了した者

・旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の過程を修了した後、医薬品又は医薬部外品又は化粧品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に3年以上従事した者

・厚生労働大臣が前各号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
品質保証責任者・品質管理業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること
・販売に関わる部門に属していないこと
・品質管理業務その他これに類する業務に3年以上の実務経験があること
・品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること
安全管理責任者・安全確保業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること
・販売に関わる部門に属していないこと
・安全確保業務その他これに類する業務に3年以上の実務経験があること
・安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること

※厚生労働大臣が前各号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

医薬品、高度管理医療機器、管理医療機器の総括製造販売責任者を経験した者とされている。
薬食発第0709004 第2の11 平成16年7月9日

総括製造販売責任者がいないと製造販売業の許可は取得できません。該当する人を見つけておきましょう。

手順書と記録が重要

製造販売業許可の審査では、手順書(業務マニュアル)および記録様式の整備責任者を含む人員市販後の安全対策を確保するための体制が省令の要求を満たしていることを確認されます。

許可取得後には業務が手順書の通りに行われているか、手順通りに行われたこと客観的にわかる記録を残すことが強く求められます。

もし製品の販売後に健康被害が出たときは原因究明と是正が必要です。
製品自体に原因があったのか、或いは顧客の使用が悪かったのかなどを調査します。
このときに記録が証拠書類にもなります。

このことからも適切に記録を残すことが重要です。

※省令

  • 「医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療当製品の品質管理の基準に関する省令」(GQP省令)
  • 「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療当製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令」(GVP省令)

手順書作成のポイント

「省令の要求事項」が手順書に漏れなく落とし込まれていることが必要です。

しかし「省令の要求事項」に「方法」を無理やり合わせると効率が悪くなります。
普段の手順をそのまま文書化し、規制上足りない部分を補ったものを手順書に落とし込むことがポイントです。

筆者は医療機器のメーカーにおいて総括製造販売責任者として手順書の整備に当たっていました。規制と実務のギャップを埋めるのに苦労しながら手順書を作成していました。

化粧品を製造したい

化粧品製造業許可が必要

化粧品の製造行為には2つの区分があります。

  • 一般区分:原材料を秤量、混合、充填するなどいわゆる製造行為が該当します。
  • 包装・表示・保管区分:「一般区分」のような製造は行わず、包装、包装への表示、保管する行為

化粧品は中身とともに容器やパッケージも重要視されます。パッケージに法定の表示がされているか、容器に汚れや割れがないかなどの確認が必要です。よって、「包装・表示・保管」のみを行う場合でも製造業許可が必要です。

製造業許可を取得するには、責任技術者と呼ばれる責任者の配置が必要です。製造の実地での管理、製造に係る人員の指導監督、製造設備・試験検査設備の管理等が求められます。

責任技術者

基準(法施行規則第91条第1項)

  1. 薬剤師
  2. 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の過程を修了した者
  3. 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を習得した後、医薬品又は化粧品の製造に関する業務に3年以上従事した者
  4. 厚生労働大臣が前3号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

構造設備(製造設備や試験検査機器)

製造業許可の審査では構造設備が基準に適合する必要があります。

一般区分の製造所の構造設備(薬局等構造設備規則第13条)
  1. 製造所の製品を製造するのに必要な設備及び器具を備えていること
  2. 作業所は以下に適合すること
    • 換気が適切であり、かつ清潔であること。
    • 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区分されていること。
    • 作業を行うのに支障のない面積を有すること。
    • 防じん、防虫及び防そ(鼠)のための設備または構造を有すること。
    • 床は板張り、コンクリートまたはこれらに準ずるものであること。
    • 排水及び廃棄物の処理に要する設備または器具を備えていること。
  3. 製品、原料及び資材を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備を有すること。
  4. 製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、当該製造業者等の他の試験検査又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であって、支障がないと認められるときは、この限りではない。
包装・表示・保管区分の製造所の構造設備(薬局等構造設備規則第13条の2)
  1. 製品等及び資材を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な構造及び設備を有すること。
  2. 作業を適切に行うのに支障のない面積を有すること。
  3. 製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、当該製造業者等の他の試験検査又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であって、支障がないと認められるときは、この限りではない。

まとめ

化粧品を製造または市場に出荷するにはそれぞれ許可が必要です。

許可の取得には責任者の設置や手順書、記録、構造設備など、化粧品の品質、有効性、安全性を確保するための体制づくりが求められます。

規制と現場効率の両立は悩ましい問題です。
社内の人員だけでの対応が厳しい場合は外部の専門家に相談するのも一つの方法です。

行政書士は化粧品製造業許可、製造販売業許可の書類作成と申請を代行できます。
何から手を付ければ良いか分からない方は、一度ご相談ください。

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